食生活アドバイザーは民間資格なの?国家資格なの?と混合されている方は多いでしょう。
食育の重要性が叫ばれる中、食育資格の人気が高まっていますが、食生活アドバイザーは特に知名度が高い注目資格。
また、在宅受験できるような食育資格とは違い、試験会場で受験する資格ということもあり、国家資格と混合されがちなんです。
結論から申し上げますと、食生活アドバイザーは国家資格ではなく民間資格になります。
民間資格と国家資格は、費用、受験資格、難易度、就職先など様々な違いがあり、メリットデメリットも違うのです。
今回は、民間資格である食生活アドバイザーの資格内容をより深く理解するために、国家資格と徹底比較していきたいと思います。
食生活アドバイザーを検討しているけど、民間資格と国家資格の違いがわからないから迷っている…という方は、その違いに納得した上で受験を決めてくださいね。
食生活アドバイザーは民間資格?それとも国家資格?
食生活アドバイザーの認定機関であるFLAネットワーク協会の公式サイト「よくある質問」の中には、この資格は国家資格ですか?それとも民間資格ですか?という質問があります。
食生活アドバイザーは間違いなく民間資格です。
それにも関わらず、国家資格だと思っている方が一定数いることがわかります。
この資格は他の食育資格に比べると難易度が高く、国家試験のように会場で試験が行われることもあり、国家資格と勘違いする方が多いのでしょう。
また、国家資格と民間資格の違いがイマイチわからない…という方もいるかもしれませんね。
食生活アドバイザーは民間資格!国家資格と民間資格のメリットデメリットとは
食生活アドバイザーは国家資格ではなく民間資格です。
でも、そもそも国家資格と民間資格の違いがわからないと、「食生活アドバイザーは国家資格じゃないからダメな資格なの?」「国家資格じゃない資格なら受ける意味がない?」と思うかもしれませんね。
食生活アドバイザーは国家資格ではありませんが、民間資格だからこそ得られるメリットも多く、決して「国家資格じゃないから意味がない」ということはありません。
ここからは、民間資格である食生活アドバイザーをより深く知るために、国家資格と詳しく比較してみたいと思います。
食に関わる国家資格は複数ありますが、その中でも習得する分野が似ていることから食生活アドバイザーと混合しやすい資格「管理栄養士」「調理師」を取り上げていきます。
資格内容、受験資格、取得までの期間と費用、難易度、主な就職先などを比較しながら、メリットデメリットも比べていきましょう。
まずは以下の表をご覧ください。
民間資格 | 国家資格 | ||
---|---|---|---|
食生活アドバイザー | 管理栄養士 | 調理師 | |
資格内容 | すこやかな食生活を送るためのアドバイスができる人 | 栄養に関する高度な指導、栄養管理を行う専門家 | 安心安全な料理を提供できる調理のプロ |
受験資格 | なし | 大学、短大、専門学校に通学し栄養士の資格を取得する | 調理師学校通学or実務経験 |
取得までの期間 | 約4ヶ月 | 4年~ | 調理師学校:1年~、 実務経験:2年~ |
取得までの費用 | 通信講座(ユーキャン) 39,000円 |
大学等:約250~約430万円 | 調理師学校:約100~約200万円 |
難易度 | 3級:約65%、2級:約40% | 約60% | 約60% |
主な就職先 | スーパー、デパート、飲食店、医療施設、福祉施設、介護施設、家庭等 | 医療施設、福祉施設、介護施設、給食センター、社員食堂等 | レストラン、専門料理店、ホテル、医療施設、福祉施設、介護施設、保育園、幼稚園、小中学校等 |
国家資格とは、法律で規定されている資格のことです。国が「知識や技術が一定に水準以上であること」と認定するものです。
一方民間資格とは、国ではなく民間団体や企業が独自の受験基準を設けていて、それに従い認定するものです。
上表のように、この2つの資格はそれぞれ異なる点が多くあります。
この内容に沿ってそれぞれの項目をご説明していきましょう。
資格内容
まずは、資格内容から見ていきましょう。
食生活アドバイザーは「すこやかな食生活を送るためのアドバイスができる人」であることを認める資格です。
幅広い食知識を備え、心身ともにすこやかな生活ができるように食生活全般のアドバイスができることを目的としています。
管理栄養士は、栄養に関する高度な指導、栄養管理を行う専門家であることを認める資格。
調理師は、安心安全な料理を提供できる調理のプロであるることを認める資格です。
管理栄養士と調理師は、知識だけでなく技術的なスキルが求められるのが特徴と言えます。
食生活アドバイザーと管理栄養士はやや資格内容が似ていますが、管理栄養士は実践力が必要になるのです。
受験資格
食生活アドバイザーと国家資格の大きな違いは受験資格にあります。
通信講座を受講すること、通学することが受験資格となる民間資格もありますが、食生活アドバイザーは特に受験資格がありません。
食に関する専門知識がない方はもちろん、料理初心者の方でも挑戦することができます。
一方、管理栄養士の場合は大学か短大、専門学校に通い栄養士の資格を取得することが受験条件になります。
調理師の場合は調理学校に通うか、実務経験があることが受験条件です。
以下が管理栄養士と調理師の受験条件になりますので、ご参考ください。
管理栄養士の受験資格 | ①修業年限が2年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、 厚生労働省令で定める施設において3年以上栄養の指導に従事した者 |
---|---|
②修業年限が3年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、 厚生労働省令で定める施設において2年以上栄養の指導に従事した者 |
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③修業年限が4年である栄養士養成施設を卒業して、栄養士の免許を受けた後、 厚生労働省令で定める施設において1年以上栄養の指導に従事した者 |
|
④修業年限が4年である管理栄養士養成施設を卒業した者 | |
調理師の受験資格 | ①飲食店や給食施設などで、2年以上の調理業務経験を経た者 |
②厚生労働大臣が指定する調理師養成施設で学んだ者 |
管理栄養士と栄養士の受験資格は異なりますが、学校で勉強することと、実務経験が必要になることがわかりますね。
国家資格は民間資格のようにただ知識を覚えるだけではないのです。
取得までの期間
国家資格の場合は、通学や実務経験が受験資格になるため、それに準じて上表のように取得までの期間は長くなります。
一方、食生活アドバイザーの場合は、受験資格がないので取得までの期間はそれほどかかりません。
ユーキャンの通信講座を受講した場合、独学の場合も4ヶ月ほどで試験範囲を学習し終える方が多いです。
取得までの費用
管理栄養士は学校に通う必要があるため、上表のようにかなりの学費がかかります。
調理師の場合も調理師学校に通う場合はまとまった学費が必要になりますね。
食生活アドバイザーも通信講座を受講すれば費用がかかりますが、国家資格に比べると非常に少ない受講料で済むと言えます。
また、テキストを購入して独学することもできるので、その場合はもっと費用をおさせることができますね。
難易度
次に、合格率から難易度を見てみましょう。
こちらは国家資格も民間資格もあまり違いがありません。
国家資格は厳しい受験資格がありますが、その分、学校や現場でしっかり知識やスキルを身につけるため、合格しやすい傾向にあるのでしょう。
食生活アドバイザーの場合は、3級の合格率は国家資格と変わりありませんが、2級になるとぐんと低くなり、難易度の高さが伺えます。
主な就職先
最後に、それぞれの資格を習得した後の就職先を比較してみましょう。
食生活アドバイザーも、管理栄養士や調理師と同じように、食に関わる職場で働いていることがわかります。
ただし、ここには大きな違いがあります。
管理栄養士や調理師は、それぞれの資格を活かして就職活動をすることができますが、食生活アドバイザーの場合は直接就職に活かせるわけではありません。
食の現場で働いている食生活アドバイザーがいることは事実ですが、その資格を持っていたらから就職できたというケースは少ないでしょう。
メリット
ここまで民間資格である食生活アドバイザーと、国家資格である管理栄養士、調理師の内容について比較してご紹介してきました。
この結果を踏まえて、それぞれのメリットをまとめたいと思います。
食生活アドバイザーのメリット
まずは民間資格である食生活アドバイザーのメリットから見ていきましょう。
受験資格がない
まず、この資格は受験資格がないので、どなたでも思い立ったらすぐに受験できるメリットがあります。
学歴、実務経験がなくても受験できるので、社会人になってからでも十分挑戦できる資格と言えますね。
短期間で取得できる
一般的な学習期間でも約4ヶ月と短く、その半分ほどの学習期間で集中的に学習する方もいます。
数年学校に通う必要がある国家資格に比べると時間的な縛りがないメリットがありますね。
費用があまりかからない
費用がかからないことも大きなメリットと言えます。
国家資格の場合は、スムーズに就職できたとしても、学費分を収入で相殺しようと思うと、長い時間がかかるでしょう。
食生活アドバイザーなら通信講座を受けたとしても数万円でおさえることができるの気軽さがありますね。
在宅学習できる
食生活アドバイザーは通学の必要がないので、基本的に自宅で勉強することができます。
通学する時間もかからず、好きな時に好きなだけ勉強できるメリットがありますね。
すきま時間をフル活用して、より多くの学習時間を得られるでしょう。
就職に活かすこともできる
食生活アドバイザーは国家資格のように就職に活かすことはできません。
でも、全く活かせないかというと、そうではないではありません。
食育資格の多くは家庭で実践することを目的としていますが、この資格は就職に役立てることもできるでしょう。
この資格を履歴書に書いただけで採用ということにはなりません。
でも、全く同じ評価の人が二人いて、一人が食生活アドバイザーの資格を持っていたら、そちらの人が採用されやすくなるでしょう。
また、企業は未経験者よりも経験者を優遇する傾向があります。その理由は、ある程度知識がある人のほうが新人研修など一から教える必要がないからです。
つまり、全く食知識がない人よりも、食生活アドバイザーの資格を持っていれば「食に関してある程度知識がある人」として評価されやすくなることも考えられますね。
管理栄養士、調理師のメリット
次に国家資格である管理栄養士、調理師のメリットを見てみましょう。
信頼度が高い
まず一番のメリットは信頼度が高いということでしょう。
国が定めた資格であるということで、その信頼度は非常に高く、時代が変わってもその信頼度が揺らぐことはありません。
例えば民間資格の場合、何らかの食ブームに合わせて人気となった資格も多々あります。
そんな民間資格の場合は、その食ブームが去ってしまうと、その資格自体の信頼度も下がってしまう可能性があります。
国家資格の場合は、時間が経っても変わらず評価され続ける安心感がありますね。
就職で優位になる
国家資格は当然、就職を優位に進めることができます。
民間資格とは違い、就職にそのまま活かせることもメリットと言えますね。
実践的なスキルが身につく
食生活アドバイザーも試験範囲を見ると、国家資格と同じような幅広さがあるのですが、覚えるのは知識だけに留まります。
国家資格の場合は学校や現場で実務経験を積むため、知識だけでなく実践的なスキルを得ることができるメリットがありますね。
デメリット
次にそれぞれのデメリットも見ていきたいと思います。
食生活アドバイザーのデメリット
メリットの多い食生活アドバイザーですが、以下のようなデメリットがあります。
国家資格より信頼度は低い
人気の食育資格である食生活アドバイザーですが、国家資格ほどの信頼度はありません。
直接就職に活かすことはできない
就職活動する中で、履歴書に書いて自己PRに繋げることはできるでしょう。
しかし、国家資格のような影響力はありません。
活かせることもあれば、活かせないこともあるというデメリットがありますね。
実践的なスキルは身につかない
国家資格のように幅広い範囲を勉強する食生活アドバイザーですが、国家資格と比較すると「広く浅い知識を覚える」に留まります。
実践的なスキルを身につけるわけではないので、職場ですぐに戦力になれるわけではないでしょう。
管理栄養士、調理師のデメリット
次に国家資格である管理栄養士、調理師のデメリットを見てみましょう。
通学や実績が必要
民間資格と大きな違いである通学や実績が必要という点が、国家資格の難点です。
これにより確かなスキルを身につけられるわけですが、社会人にとってはハードルが高くなりますね。
学習期間が長い
学習期間が長いこともデメリットと言えます。
じっくり多くの知識を学べる反面、資格取得のゴールは非常に遠いです。
すぐに取得して就職に活かしたい!という方には向いていませんね。
費用がかかる
最後に挙げるデメリットは、やはり費用面です。
どんなに就職に優位であると思っても、上表のような高い学資は払えない…という方はお多いでしょう。
ここまで民間資格である食生活アドバイザー、国家資格である管理栄養士と調理師の目襟っとデメリットを比較してきました。
まとめると以下になります。
民間資格 | 国家資格 | ||
---|---|---|---|
食生活アドバイザー | 管理栄養士 | 調理師 | |
メリット | ・受験資格がない ・短期間で取得できる ・費用があまりかからない ・在宅学習できる ・就職に活かすこともできる |
・信頼度が高い ・就職で優位になる ・実践的なスキルが身につく |
|
デメリット | ・国家資格より信頼度は低い ・直接就職に活かすことはできない ・実践的なスキルた身につかない |
・通学や実績が必要 ・学習期間が長い ・費用がかかる |
このように、国家資格と民間資格はメリットもデメリットもかなり違うことがわかりますね。
「食生活アドバイザーは国家資格みたい」と混合されがちですが、この違いがわかると、あなたにとって、食生活アドバイザーは向いているのか否か判断することができるはずです。
もし、どんなに時間とお金がかかっても、実践的なスキルを身につけて就職に活かせる信頼度の高い資格に挑戦したい!という方は、国家資格を目指すと良いでしょう。
食生活アドバイザーのメリットに魅力を感じる方は、食生活アドバイザーが向いていると言えますね。
食生活アドバイザーと他の民間資格と国家資格を一緒に取得する「複合資格」に挑戦しよう
ここまで、食生活アドバイザーは民間資格であること、国家資格との違いについてご説明してきました。
それぞれの資格のメリットデメリットを考慮して、本当に食生活アドバイザーを取得したいのか検討してくださいね。
しかし、どんな資格でも、どれか一つに絞る必要はありません。
すでにお持ちの資格と一緒に食生活アドバイザーを取得し「複合資格」を持つことで、それぞれの専門分野でさらに活躍することができるでしょう。
食生活アドバイザーが習得する知識は、「栄養と健康」「食文化と食習慣」「食品学」「衛生管理」「食マーケット」「社会生活」と多岐にわたります。
食生活アドバイザー習得する詳しい内容は「食生活アドバイザーの資格内容を詳しく解説!」で解説していますので、是非ご覧ください。
それでは具体的にどんな資格を食生活アドバイザーと一緒に習得すると良いのでしょうか。
ここで、数ある資格の中から、食生活アドバイザーと複合資格として持つことでメリットの多い6つの資格をご紹介したいと思います。
国家資格である「調理師」「栄養士」「保育士や教師」、民間資格である「ホームヘルパー」「アスレチックトレーナー」「販売士」と一緒に食生活アドバイザーを取得することで、以下のように活かすことができるでしょう。
調理師と食生活アドバイザー
調理師としての料理スキルにプラスして、食生活アドバイザーの安心安全の食材を選べる知識がプラスされれば、より質の良い料理提供ができるようになるでしょう。
メニュー作りや食ビジネスなどの知識も活かした店舗運営ができますね。
栄養士と食生活アドバイザー
栄養士としての食品の栄養バランスの知識に加えて、食生活アドバイザーの経済、環境、ライフスタイルなどの幅広い視点がプラスされれば、より充実したアドバイスをできる人材になれるでしょう。
保育士、教師と食生活アドバイザー
早い時期から子供に正しい食育をすることはとても大事です。
食の大切さから、食マナー、環境問題まで、子供の成長に応じて的確な食育指導ができるでしょう。
ホームヘルパーと食生活アドバイザー
高齢者や障害者の家事や介護のサポートをするホームヘルパーの業務の中でも、食事に関わることはとても重要です。
症状に合わせた食事を提供できたり、食改善のアドバイスなど、様々な知識を活かすことができます。
アスレチックトレーナーと食生活アドバイザー
スポーツ選手の健康管理や、ケガした時の応急処置やリハビリを行うアスレチックトレーナー。
食生活アドバイザーの幅広い食の知識があれば、栄養・運動・休養に的確にアプローチできるので、より専門的なサポートが可能になるでしょう。
販売士と食生活アドバイザー
食生活アドバイザーは消費者の需要に合わせる方法、食品の安全性をアピールするなどの食マーケットに関する知識を持っているため、販売士として店づくりに役立てることができるでしょう。
このように、複数の資格を取得することで、職場でも実生活でもより専門性を極めることができるでしょう。
ダブル資格取得を検討されている方は、ぜひご参考ください。
食生活アドバイザーは国家資格ではなく民間資格。内容を把握した上で受験しよう
今回は、「食生活アドバイザーは国家資格なの?」という問題について考えてきました。
食生活アドバイザーは難易度が広く、試験範囲の広いことから、国家資格と混合される方が多いです。
しかし、食生活アドバイザーは、FLAネットワーク協会が主催する民間資格です。
国家資格と民間資格との違いを明確にするために、民間資格である食生活アドバイザーと、国家資格である管理栄養士、調理師の資格の詳細の違い、メリットデメリットを比較しながらご説明してきました。
食生活アドバイザーと国家資格の違いを把握した上で、食生活アドバイザー受験を検討しましょう。
また、すでに国家資格や民間資格をお持ちの方は、食生活アドバイザーとの「複合資格」もおすすめです。